スマトラは、菱形に近い体と黒い縦帯が目立つ、活発な小型魚です。混泳で先に考えたいのは、ほかの魚のひれをかじる可能性です。少数を静かな水槽へ追加するより、同種の群れが泳ぐ空間を用意し、動きの遅い魚や長いひれの魚とは分けて計画しましょう。
スマトラの幼魚。出典ではPuntius tetrazona(現在の組み合わせはPuntigrus tetrazona)として掲載されています。
写真:Faucon / Puntius tetrazona001.JPG(Wikimedia Commons) / CC BY-SA 2.5。掲載元の色・構図を保持。表示用に縮小。
撮影個体の一例です。色の見え方は照明などでも変わります。スマトラの飼育データ| 項目 | 目安・確認点 |
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| 学名の扱い | Puntigrus tetrazona の名で流通。改良系統の由来には不確実性もある |
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| 大きさ | 最大6cm SLの資料あり。尾びれは含まない |
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| 水槽の参考 | 底面80×30cm以上(Seriously Fish) |
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| 群れの参考 | 8〜10匹以上。混泳の安全や過密を保証する数ではない |
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| 水温・水質の参考 | 20〜26℃、pH5.0〜8.0、1〜20dGH |
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| 性格・餌 | 活発でひれかじりに注意。小粒の人工餌と小さな冷凍・生き餌 |
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数値は出典の飼育目安・記録値です。販売個体の種類や状態、購入先の管理条件も確認してください。参考:[1]・[2]
dGH・dHは水の硬度を表す単位です。pHと硬度は別の指標として確認します。
スマトラの模様と、改良品種でも変わらない確認点
一般的なスマトラは体高のある体に4本の黒い縦帯が入ります。グリーンやアルビノなど、違う色で販売される系統もありますが、色が違うだけで混泳時の注意がなくなるわけではありません。
Seriously Fishは、観賞魚として流通する系統を野生の P. tetrazona と単純に同一視することに留保を置いています。購入時は販売名と品種名を控え、野生由来か養殖か、現在どの水で飼われているかを確認すると、広い水質目安をどう使うか判断しやすくなります。
参考:[1]
群れと水槽サイズ:少数飼育で落ち着くとは限らない
飼育資料は底面80×30cm以上、8〜10匹以上の群れを案内しています。同種間へ行動が向くようにする考え方ですが、数を増やすだけでひれかじりが必ず止まるわけではありません。泳ぐ場所が狭いまま追加すれば、別の問題も生じます。
日本の規格から選ぶなら、原典の80cmという長さを下回らない90cm級を検討する、という選び方ができます。これは規格への置き換えの例で、90cmなら無条件で何匹でも飼えるという基準ではありません。水草は周辺へ寄せ、群れが横に泳ぐ通路を残します。
参考:[1]・[2]
混泳を避けたい魚:ベタ・グッピー・エンゼル
長いひれを持つベタやグッピー、ゆっくり泳ぐエンゼルは、ひれかじりの注意があるスマトラと安易に組み合わせたくない相手です。小型の温和な魚だから相性がよい、という判断はできません。
混泳を検討する場合も、泳ぐ速さや体格、水温が合うことと、追われたときの逃げ場所を確認します。ひれが裂けるまで待つのではなく、同じ個体への追跡や餌場からの追い払いが続いた段階で分離を考えます。まずスマトラの群れを落ち着かせ、その後の追加は水槽に余裕がある場合に検討しましょう。
参考:[1]・[2]
水温・水質と餌:野生魚と養殖系統を分けて考える
資料の水質幅は広いものの、野生由来の魚と改良系統では管理歴が異なります。購入店の条件を確認し、最も低いpHや最も高い硬度を無理に目標にしないようにします。
餌には口に合うフレークや小粒の餌を使い、小さな冷凍餌や生き餌を組み合わせられます。群れが勢いよく食べても、全個体が食べているとは限りません。小さな個体が餌場へ出られるか、追われて餌を吐き出していないかを観察し、残餌を減らせる与え方へ調整します。
参考:[1]
繁殖は卵を親と分け、稚魚用の餌を先に用意
スマトラは卵をばらまく散卵魚で、親が保育する魚ではありません。採卵を計画するなら、卵が親に食べられにくい水草やモップなどを用意し、産卵後は親を分けます。
稚魚が食べられる微小な餌と育成槽は、卵を見つけてからではなく事前に準備してください。繁殖後に群れが増えれば飼育面積も必要になります。産卵することと、十分な数の稚魚を成魚まで育てることを分けて計画すると、行き場のない魚を増やさずに取り組めます。
参考:[1]
追われる魚の退避場所と、群れの遊泳路を両方作る
スマトラの配置では、広く泳げることと、相手から見えなくなる場所を持つことの両方を考えます。Aquarium Co-Opも、植物や飾りで視線を遮り、弱い魚が退避できる構成を案内しています。水草を一方の壁へ寄せるだけでなく、追われた魚がいったん姿を隠して別の場所へ出られるかを確認してください。
給餌には、水中へ散りやすい小さなフレークや小粒餌を使う工夫が紹介されています。一か所で大きな餌を奪い合う状態なら、少量ずつ場所を分け、控えめな個体にも届くかを観察します。餌の種類を変えても追尾が続く場合は、過剰給餌で解決しようとせず分離を含めて見直します。
追われる魚の退避場所と、群れの遊泳路を両方作る| 場面 | 見る点・進め方 |
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| 泳ぐ場所 | 群れが横へ移動して方向を変えられる通路 |
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| 退避する場所 | 相手から見えなくなり、休んで出直せる陰 |
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| 食べる場所 | 小さな餌を分散させ、全個体の取り込みを確認 |
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参考:[3]
孵化した直後と、泳いで餌を取る稚魚は段階が違う
商業繁殖の手引きでも、卵黄を使う孵化直後の段階と、自由に泳いで外から餌を取る段階を分けています。卵が孵化した日だけで給餌を判断せず、先に育った稚魚の動きも確認します。研究・生産設備で使う密度や日程を、そのまま家庭の予定表にはしません。
家庭向けの案内には、インフゾリア(ゾウリムシなどの微小な生き餌)や稚魚用粉末餌から、成長に応じてマイクロワームやブラインシュリンプ幼生へ移す例があります。唯一の餌順として固定するより、準備できる微小餌を確保し、実際に取り込めるかを見ながら進めます。餌を変えるときは急に全量を置き換えず、小さい個体が取り残されないかも確かめましょう。
参考:[3]・[4]
スマトラのよくある質問
4匹で飼えば群れとして十分ですか?
参照した資料は8〜10匹以上を案内しています。ただし匹数だけを増やさず、底面積とろ過を一緒に確保します。
アルビノやグリーンスマトラなら混泳しやすいですか?
色の違いだけで相性を保証できません。長いひれや動きの遅い魚への注意、群れと遊泳空間の確保は同様に考えます。
ひれかじりは餌を増やすと治まりますか?
空腹だけが原因とは限りません。追い回す相手、群れの数、泳ぐ場所を確認し、被害が出る組み合わせは分けます。餌の過剰投入だけで解決しようとしないでください。
購入前に確認したいこと
- 群れの数に合う横長の水槽を用意する
- 長いひれの魚・動きの遅い魚との混泳を避けて考える
- 養殖系統か野生由来かと店の水質を確認する
- 追い回しが続く場合の分離先を用意する
- ゼブラダニオ — 活発な群泳魚の水槽と採餌競争を比較する
- グッピー — 長い尾を持つ魚の混泳上の注意を確認する
関連ページは特徴や飼育条件を比較するための案内です。混泳できる組み合わせを示すものではありません。
参考資料・情報の確認について
飼育施設・専門店の飼育案内と分類資料を照合して編集しています。野外の最大サイズと水槽内の目安を区別し、流通名だけでは種を特定できない場合は本文に記載しました。資料確認日:2026年9月22日。
- Seriously Fish:Puntigrus tetrazona:流通系統、体格、水槽と群れ、混泳、散卵
- Maidenhead Aquatics:熱帯魚と無脊椎動物の飼育案内:スマトラの活発さと、大きな群れでいじめを分散する考え方
- Aquarium Co-Op:Tiger Barb Care:視線を遮る配置、散りやすい餌、採卵と稚魚の初期餌
- CTSA Publication 129:スマトラの商業繁殖マニュアル:孵化直後と自由遊泳後の給餌段階を区別。生産密度・日程・薬剤は転用しない